椎間板ヘルニア

・首～肩甲骨にかけての痛み、こり
・手足や手指のしびれ、感覚障害、可動域の制限
・上肢の筋力低下
・細かい作業の困難
・歩きづらさ
など

・太ももやふくらはぎのしびれや痛み
・脱力感
・脚の筋力低下
・歩きにくさ
・階段を降りる際の不安定さ
など

・臀部～大腿～下肢の痛み（坐骨神経痛）
・下肢のしびれ
・腰痛、臀部の痛み
・下肢の筋力低下、足指やつま先に力が入らない
・尿意が分からない、肛門の感覚低下、失禁
など

椎間板は10歳を過ぎるとそれ以降、組織の老化が始まるとされ、年齢を重ねるとともに少しずつではありますが徐々に柔軟性を失っていきます。
例えるならばゴムのようなものと考えると分かりやすいでしょう。
組織が衰え柔軟性がなくなると、関節を動かした際の負荷（テンションなど）を要因に一度変形した後に元の形に戻りにくくなります。
そのため歳を重ねると、椎間板が突出する原因となりやすいです。
高齢者にも好発しやすいと思われがちですが、逆に高齢者の場合は椎間板の組織が硬質化することにより、その発症率は低くなっていきます。

椎間板は血管を持たない組織であるため、近くの微細な血管から栄養を得て組織を保持しています。
喫煙によって血管が収縮し、微細な血管の血流が低下すると、椎間板に十分な栄養が供給されず、椎間板の老化が進みやすくなります。

これは椎間板に限ったことではありませんが悪い姿勢を続けたり、長時間同じ姿勢でいたりすると、一部の椎間板に大きな負担がかかりテンションが掛かり続けるため椎間板ヘルニアのリスクが高まります。
日常的に猫背の方や、長時間デスクワークや運転をする方、家事などで前かがみの姿勢を取ることが多い方は、椎間板ヘルニアになりやすいです。

無理に腰や背中を曲げたり捻ることでも、一部に負荷がかかり椎間板ヘルニアを併発することがあります。
椎間板は構造的に縦方向の力には強くできていますが、それ以外の方向の力にはあまり強くないので、腰を無理にひねる・背中をそりすぎるなどの負荷によって椎間板ヘルニアが発症することもあります。
その他、交通事故などで急激に強い衝撃を受けると、頸椎椎間板ヘルニアになることがあります。
胸椎椎間板ヘルニアは外傷が見当たらないことがほとんどで、実際に発症する方も少ないです。

長期間同じ姿勢でかかる一部の負担は計り知れません。
正しい姿勢を保つことで椎間板にかかる負担を軽減し、事前にヘルニアの予防に役立ちます。
つまり、日常生活で姿勢を意識することは非常に重要です。
（※一部で言われるような「ヘルニアが元の位置に戻る」ということは実際には起こりません。
時間の経過とともに周囲の組織に吸収され消失していくためです。）

●長時間のデスクワーク
実は座っているだけでも姿勢によっては腰に負担がかかります。
長時間同姿勢でいることが身体に良くないため、何時間も同じ姿勢で座り続けず、適度に立ち上がったり休息をとることが重要です。
また、無理に低い椅子を使用すると、身体全体が丸くなりやすく相対的に骨盤が後傾しやすくなり、ヘルニアの発生リスクが高まります。
そのため、膝より低い椅子や、車の座席、映画館の座席などは、ヘルニアのリスクが高いと考えられます。

●床に座る場合
あぐらをかいた状態での座位は、骨盤の後傾を助長してしまうため腰に負担がかかります。
できるだけ正座を心がける必要があり、あぐらは正座や横座りより腰に負担がかかるため意識的に控えましょう。

●イスに座る場合
イスが高すぎると腰に負担がかかるので、膝が股関節よりやや高めになるように調節します。
また、椅子に座るときは骨盤がまっすぐになるように深く腰掛けましょう。

●運転する場合
運転前に深く腰かけて背中を密着させた状態で足がペダルから離れすぎないようにドライバーシートを調節してください。
また、運転中は適度な休憩を取ってください。
車の乗り降りも注意が必要です。

●持ち上げる、取るとき
重たい物を持つなど、腰に過度な負担がかかる動作はなるべく避けるようにしましょう。
お仕事などの都合でどうしても避けられない場合、腰の力だけでなく、膝を曲げて足の力も使って持ち上げるようにすることが大切です。
また、コルセットなどで保護してあげることも効果的です。

また、自分より高い位置にあるものは、台を利用し、背中をそらさないように工夫することも効果的です。

良い姿勢とは耳、肩、腰、膝、くるぶしが一直線になる姿勢です。
座った姿勢をチェックする場合は、耳から腰まで一直線になるか確認しましょう。

特に長時間のスマートフォンの使用やデスクワークで不良姿勢になりやすいので注意が必要です。

「毎日30分を定期的に」を目標にウォーキングをはじめるのがおすすめです。
最初は無理をせず、ご自身のペースで大丈夫です。
ウォーキングをおこなうことで、背骨のバランスが整うだけでなく、持久力アップ、心肺機能強化が期待できます。
なお、アスファルトやコンクリートなどの硬い道ではなく、土の上を歩くことで、背骨や膝や足の裏にかかる負担を軽減することができます。
同様の理由で、シューズも、ウォーキング用・ジョギング用のものを選びましょう。
ただし、あくまでも歩いて痛みが出ないことが大前提です。
ウォーキング中やウォーキング後に痛みや不快感が出ない程度におこなうようにしましょう。

●頸椎椎間板ヘルニアのための体操
①うつ伏せの姿勢をとり、肘を地面につけて上半身を支えます。
②あごを引き、右と左に首をゆっくりと回します。
③これを左右それぞれ10回ずつ繰り返し、3セット行います。

※ポイント
首を左右に動かす際に、あごが上がらないようにしましょう。

●腰椎椎間板ヘルニアのための体操
①四つん這いになって背中が反らないように注意します。
②片方の腕を床に平行に持ち上げ、その姿勢を10秒間保持します。

これを4〜5セット行いましょう。
慣れてきたら、同時に反対の腕と足も持ち上げた状態を維持してみましょう。

※注意点
・無理に行わないようにしましょう。
・痛みは我慢せず、筋肉が伸びて気持ちいい状態で止めましょう。
・痛みがあり、同じ姿勢が取れない場合は中断してください。